今日の阪急グループを築き上げた小林一三翁。氏は当時赤字でつぶれかけていた有馬電気鉄道を沿線の宅地開発と車中の吊広告で救ったのは有名な話。
氏のアイデアは他に日本初のターミナルデパートや宝塚歌劇の設立等数え上げればきりが無い。
こんなエピソードが残っている。
氏のアイデアで開業した梅田阪急百貨店の最上階のレストラン。
そこで提供されたライスカレーは大変な人気だった。
しかし当時の日本人には外食の習慣も無く、経済的にもその余裕も無かった。
客の中にはライスだけを注文しそれにソースをかけて食べる人が多かった。
レストランの責任者はこれでは売上に響くと判断しライスのみの注文を禁止した。店舗の責任者とすればこれは当然の処置だろう。
それを耳にした一三翁は即座に「ライスのみのお客様大歓迎」と張り紙を店頭に出させた。
この「ソースライス」は屋上レストランの名物になり以前にも増して人が押し寄せた。
コロナ渦の影響による経営不振で倒産や閉鎖、撤退を余儀なくされている企業は多い。
人員整理や非正規社員のリストラは企業が生き残る為の必要な手段。しかしこれはあくまで一つの手段。
もし一三翁が存命ならどのようなアイデアでこの難局を切り抜けるのだろうか。今こそ経営者のしなやかな発想、判断が求めらている。